最近「カーボンニュートラル」という言葉をよく聞くようになりましたよね。
理由はCO₂などの温室効果ガスにより地球温暖化が進んでいるためで、「カーボンニュートラル」はCO₂の排出量を実質0にするという動きです。
しかし、カーボンニュートラル実現は難しいという研究結果も既に出ており、「カーボンニュートラルを目指すなんておかしい」と声を上げる人も増えてきています。
目次
カーボンニュートラルとは
CO₂排出量実質0を目指す取り組み
「カーボンニュートラル」は、CO₂をはじめとする温室効果ガスの排出量を、植林やCO₂吸収技術などによる温室効果ガスの吸収量で相殺し、実質排出量を0にしようとする取り組みです。
我々の生活は電気などをはじめとした様々なエネルギーによって成り立っており、エネルギーの生成の際にCO₂などの温室効果ガスが発生しています。
産業革命やエネルギー革命以降、世界のCO₂などの温室効果ガス排出量は急激に増加しており、同時に地球温暖化も進行しており、環境問題や新しい病気の発生・拡散など、様々な面で被害が生じています。
地球温暖化という世界規模の問題を解決するために、各国がカーボンニュートラルの実現に動いているのです。
2015年にパリ協定が採択され、世界全体で地球温暖化が問題視されるようになり、ヨーロッパの先進国をはじめとした国々がカーボンニュートラルの実現を目指しています。
先進国を中心に2050年目標で動いている
諸外国はカーボンニュートラル実現に向けて動いており、先進国をはじめとしてヨーロッパ諸国やアメリカ、日本が段階的にCO₂などの温室効果ガス排出量を減らし、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目指しています。
特にヨーロッパはエネルギー面において主要国の多くがエネルギー生成全体における再生可能エネルギーの割合を増やしてきており、ほとんどの国が2020年時点での再生可能エネルギー生成量の目標値を達成しています。
また、輸送や移動手段としての自動車によるCO₂排出量についても、各国がEV(電気自動車)の販売量を2035年を目安に増やし、ガソリン車を減らすことでCO₂排出量の削減を目指しています。
国によって取り組み方に差がある
主要国のカーボンニュートラル実現への動きが盛んなのに対し、中国や発展途上国の多くはカーボンニュートラルへの取り組みには消極的です。
カーボンニュートラル実現には再生可能エネルギーを利用するための技術開発などに多額の投資が必要となるため、資金力に欠ける発展途上国にとっては簡単に目指せるものではありません。
また、中国やインドなどは「今まで先進国がCO₂排出量を気にせず成長してきたのに、我々にはCO₂を出さずに成長しろというのか!」という考えを持っており、先進国にならってカーボンニュートラル実現を目指す国々ばかりではないのが現実です。
中国はカーボンニュートラル実現2060年に設定し、昨年のCOP26で代表国のイギリスに強く求められても目標設定年度を変えないなど、「カーボンニュートラル実現よりも中国の成長が一番」という強い意志を感じてしまいます。
日本の取り組みは甘い
日本はカーボンニュートラル実現の目標設定年度を2050年にしているものの、いまだにCO₂排出量の多い火力発電の割合が高かったり、EV普及率が先進国の中でかなり低いなど、課題が山積みになっています。
日本はカーボンニュートラル実現を2050年に設定したのは2020年とつい最近であり、実現に向けた取り組みは海外主要国に比べてかなり遅れをとっています。
エネルギー分野においては、最近になってようやく再生可能エネルギーの割合を高めようと動き出したばかりです。
再生可能エネルギーに関する技術の開発や太陽光・風力発電量の増加に動き出しているものの、具体的にどのくらいの割合まで高めることができるのか、問題になっています。
また、日本の主力産業であった自動車産業も、ガソリン車が主体であったためEVの導入に海外主要国に比べて遅れをとっており、EVの普及率がまだまだ低い状態です。
日本は「2030年に温室効果ガスを2013年度比46%削減」という大きな目標を立てているものの、その実現に向けた具体的な取り組みはあまり進んでいないのが現状となっています。
日本がカーボンニュートラルはおかしい?
実現可能性は低い
既に述べたように、日本の目標としている「2050年にカーボンニュートラル実現」という目標の実現可能性はかなり低いといえます。
マッキンゼーが調査した結果によると、日本は2030年までは脱炭素を進めていけるものの、それからはより高度な技術や費用が必要となり、脱炭素化がストップしてしまうと言われています。
やはり脱炭素化には大きなコストがかかってしまうため、簡単には進んでいかないようです⋯。
利益を求めておざなりになりがち
脱炭素化はコストがかかってしまうため、利益を求めがちな日本企業や日本政府はどうしても脱炭素化に及び腰になってしまいます。
海外では、脱炭素化を進めることで政府から補助金が出たり、脱炭素化をしないと税金が増えたりするため、企業が脱炭素化を進めてきているという流れがあります。
一方日本では、脱炭素化に関する政策はほとんど取られていないため、多くの企業が脱炭素化を無理に目指さないという状況があります。
しかし、世界(特に先進国)で見れば脱炭素化を目指すのは当たり前となっており、新しいルールもたくさん生まれてきています。
また、脱炭素化を促進していない企業のサービスや商品は消費者からいずれ選ばれなくなっていくと言われており、コストの増加や利益を追求するあまり脱炭素化が遅れている日本は、本当に危ない状況にあるといえます⋯。
日本は遅れがち
日本政府や日本企業は脱炭素化に及び腰で、基本的に海外の取り組みを後追いする形になっています。
そのため、海外で先に脱炭素化に関わるルールが作られてしまい、日本にとって不利なルールができてしまう可能性もあります。
また、日本は政府や企業だけでなく、国民が脱炭素化への意識が低いことも問題となっています。
アメリカのZ世代などは環境にやさしいサービスや商品を積極的に選択して生活を行っていますが、日本人でそのように自主的に脱炭素化を意識して生活している人は多くありません。
身の回りの人で脱炭素化を意識して生活している人がどのくらいいるか考えてみれば分かっていただけると思います。
日本人全体で脱炭素化を進めていくためにも、政府や企業がもっと脱炭素化をアピールしていく必要があるのではないでしょうか。
世界全体で取り組むべき問題
自分の将来に直結する問題
脱炭素という問題は地球に住んでいる以上誰もが考えなければならない問題であり、自分の将来に直結する大きな問題です。
地球温暖化が進んでいくことで人類が直面する危機はどんどん増えていくと言われており、脱炭素化は自分達の将来を守るうえでも欠かせない取り組みです。
何もしなければ、今までの何十倍もの気候問題が起こったり、異常気象で農作物が取れなくなったり、島国が沈んだり、動物が絶滅したり、新しいウイルスが発生したり⋯。
自分達の生活に直結する問題が山ほどあるにもかかわらず、まだまだ日本人は脱炭素化への意識が薄いです。
この機会に一度脱炭素化について考えていただき、自分にできることを考え、少しでも動いてみてもらいたいと思います!
まとめ:カーボンニュートラル実現は難しい⋯でも!
カーボンニュートラルの実現は、先進国の多くが2050年目標に取り組んでいますが、日本をはじめ達成できない可能性の高い国々があり、なかなか難しいとされています。
今後、各国がよりカーボンニュートラルの実現に本腰を入れ、地球温暖化という大きな問題にもっと真剣に取り組む必要が出てくるでしょう。
特に日本はカーボンニュートラルに関する取り組みが先進国の中では遅れがちなので、今後改善していって欲しいと思います。
カーボンニュートラルは実現可能性が低いから目指さなくていい、という問題ではなく、地球で生きている人類全体で取り組まなければいけない問題です。
自分の将来のために、また子供達やその先の将来世代のためにも、今できることを我々1人1人が行い、脱炭素を進めていく必要があるのではないでしょうか。
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