IPCCの報告書概要~地球温暖化と世界の危機~【2022/02/28発表】

脱炭素

2022年2月28日、IPCCの第2作業部会が気候変動による世界への影響やどう対策していくべきかについてまとめた報告書を公表しました。概要としては、

地球温暖化による気候変動で最も悪影響を受けているのは小さな島国やアフリカ、中南米などの発展途上の国々。
・地球温暖化による気候変動によって生態系が崩れ、それにより人類も脆弱になっていく。
・このまま地球温暖化が進めば気候変動によるリスクと被害は最大で数倍になり、複雑化する
・気候変動が人間や自然のシステムを破壊しているのは明確であり、気候変動に適応していくためにも、政治的な取り組みや制度の構築、財源の確保等などが重要である。

となっています。2021年8月9日に発表された報告書でも地球温暖化による将来の予測がなされていましたが、今回の内容はより人類や生態系などの視点をふまえたものとなっています。

今回の記事では、発表されたばかりの報告書について重要な部分をピックアップしてお伝えしていきます。

IPCCとは?

「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略!

IPCCは「国連気候変動に関する政府間パネル」のことです。英語の「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略で、人為的な気候変化やそれによる人類・社会への影響などを科学・技術・社会科学など様々な観点から評価することを目的とした団体です。

国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織です。

IPCCとは? | IPCC 第5次評価報告書 特設ページ (jccca.org)

世界で活躍する各国の専門家が集まり、発表された論文やデータから人為的な気候変動によるリスクや問題を調査し、発表してくれています。

IPCCの組織構成

引用:IPCCとは? | IPCC 第5次評価報告書 特設ページ (jccca.org)

IPCCの組織は大きく5つに分かれています。ざっくりと

IPCC総会:各作業部会の報告書作成者や査読者の決定
第1作業部会:気候変動が起きていることの科学的根拠の調査・報告
第2作業部会:気候変動による人類・生態系への影響の調査・報告
第3作業部会:気候変動の緩和策の評価・報告
インベントリ・タスクフォース:各国の温室効果ガスに対する目標の管理

といった内容になっています。IPCCが政府やわれわれに向けて発表してくれる報告書は第1作業部会~第3作業部会それぞれの報告書に加えて、3つの報告書をまとめた統合報告書の4つになります。2022年2月28日に発表された報告書は第2作業部会の報告書になります。

ちなみに2021年8月9日、IPCCから第1作業部会の報告書は発表されています。

2022年2月28日の第二作業部会の発表内容

IPCCは第2次作業部会の報告書にて、人為的な気候変動によって多くの人々や生態系に悪影響が出てきており、今後も気温上昇が続いていくと甚大な被害が出るだろうと予測しています。

人為的な気候変動が人類に水不足や洪水の危険をもたらす

人為的な気候変動の影響は様々な部分で現れてきていますが、その例として水不足や洪水による被害が増えている、また被害が増加していく可能性が高いことが報告されています。雪解け水を利用している地域や乾燥地では地球温暖化による気温上昇によって利用できる水の量が減少しているため、生活するうえで水不足を経験しています。また、気温上昇によって海水面が上昇してきています。現状のままでは世界の10億人以上が今世紀半ばに洪水のリスクにさらされる危険性が高いとされています。

発展途上国を中心に被害が拡大

また、気候変動による被害は途上国の貧困層で顕著に出るとされています。水不足や洪水被害だけでなく、農作物に高温障害が生じることや、海水温の上昇に伴う漁業不振など、地球温暖化の影響は計り知れません。これらの被害で食糧難に陥る人口はアフリカや南アジアを中心に2050年ごろに最大8000万人になると発表されました。

これらの被害は主に発展途上国が受けるものであり、先進国にいると実感しにくいものがあります。特に日本のような社会インフラが整って不便なく過ごせる国にいるとこういった被害は考えにくいでしょう。世界に目を向けると途上国や貧困層が地球温暖化による被害を受けていることは知っておかなければなりません。

生態系が崩れていく

また、これらの人類への被害は生態系が崩れたことによるものです。地球温暖化によって生態系が変化してしまい、生物の生息環境が変化すると共に人類の生活にも悪影響を及ぼしてしまってきているのです。

地球温暖化による生物多様性への影響は人類には関係ないと誤解している人もいますが、生態系は様々な要因が密接に絡み合っています。今後も地球温暖化が今のペースで進んでいけば、より既存の生態系が崩れ、水や食糧の不足に苦労する人々が増える可能性が高いです。

気候変動の影響は予測が難しい

IPCCの発表では、気候変動の影響がいつどのように現れるか、予測することがとても難しいとされています。生態系は様々な要因が密接に絡み合っているため、地球温暖化の影響がどこに現れるのかが予測しにくいのです。

また、気候変動の影響はより複雑化していき、被害がより甚大になっていくとも言っています。様々な気候変動が組み合わさり、今までにない大きな災害が発生する可能性があると述べています。

IPCCの提言

引用:日本経済新聞 (nikkei.com)

IPCCは今と同じように地球温暖化が進んでいくことは避けなければならないとし、また今世紀中に産業革命期以前に比べて1.5度の上昇はするだろうと予想しています。これにより北極の氷は解けますし、海面は上昇して多くの人々が被害に遭うことになるでしょう。

そうならないためにも、各国が今後10年間における地球温暖化抑制のための具体的な計画をまず作成することが重要であると発表しています。短期的なリスクの低減に各国が注力しているため、より長期的なスパンで地球温暖化に取り組んでいく姿勢が求められます。

また、地球温暖化を抑えるためには各国の政治的な取り組みが欠かせません。具体的な政策はもちろん、それを可能にする財力や実行力が必要になってきます。今後の企業の発展にも同様に地球環境に配慮した開発が求められると述べており、各国の政府や企業の努力がなければ、地球の気温は1.5度上昇し様々な地域で甚大な被害が出るとしています。

なんとか今人類がふんばり、今世紀中の気温上昇を1.5度以内に抑えることが非常に重要なのです。

地球温暖化による気候変動は人間や自然のシステムを壊している!

IPCCの第2作業部会が発表した報告書では、人類起源の地球温暖化による気候変動によって、人間だけでなく生態系そのものに悪影響が及んでいることに疑いはないと述べられています。今後地球温暖化が今と同じようなペースで進んでいくとすると、予想できないような気候リスクが生じ、人間や自然のシステムが破壊されかねません。

政治的な観点から地球温暖化を抑えるための取り組みはもちろん、我々一般市民も地球温暖化に高い関心を持ち、気候変動をどう抑えていくかについて考え続ける必要があるでしょう。

IPCCの第3作業部会は2022年4月ごろに地球温暖化に大きくかかわる温暖化ガスの排出削減への取り組み内容についても報告書を発表するので、こちらもぜひ関心を持ってみてください!

IPCC
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地球温暖化を抑えなければ気候変動による被害は今後どんどん増えていきます!皆さんの日常から地球温暖化を意識して生活していきましょう!

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